2009年11月7日土曜日

ゼミ面接

木曜日にゼミナールの面接を行いました。
こちらの予想に反して31名の学生さんの応募があり、20名程度まで人数をしぼらなければならなくなってしまいました。
面接を始める前に、5つの点についてこちらの基準で評価をするとお伝えいたしましたが、その評価基準は以下のものになります。

1. 志願書:あまりにも空白が多かったり、鉛筆の下書きの文字がそのままだったりするものは論外。また、非常に小さな文字でいろいろと書きすぎていても、逆に内容が理解しにくくなっているものは、読み手のことを考えていないという点で評価は低い。また、面接の時間を定め、掲示板にて告知したにもかかわらず、それを見落として違う時間帯に来て、いろいろと言い訳を述べられた方がおりましたが、問題外です。

2. 視線、しぐさ:話すときに視線をそらしたり、アイコンタクトが上手にできない場合には評価を低くしました。英語でコミュニケーションをとることを前提とするならば、言語能力だけではなく、非言語の部分でもコミュニケーションスキルを持っている必要があると考えられるからです。さらに、話すときに落ち着きがなかったり、髪の毛を触ったりという場合も好ましい態度とは言えないので減点。

3. 積極的にコミュニケーションをとろうとする態度:いくつか英語で質問させていただきました。文法的に誤った表現はあまり気にしませんでしたが、なんとか相手に伝えようという態度があるかどうかを判断させていただきました。さらに、自らが学んでいこうという積極的な態度が見られるかも勘案しています。「ゼミで先生に教えてもらいたい」ということではなく、自らが問題を見つけ、それを追求する姿勢が大切だと考えているからです。ですので、最後に「何か質問はありますか?」という問いかけをいたしました。少なくとも、自らが学ぼうという姿勢を持っていれば答えられるはずだと思います。

4. キャリアプランを描けているか:将来のことについて、きちんと考えているかということがポイント。また、ゼミでの内容が応募した学生さんたちの将来に結びついていれば非常に有益になるでしょうが、そうではない場合には、お互いに嫌な思いをすることになると考えています。

5. 自己分析力:ゼミで最も大切なことは、主観性を排除して客観的に論じるということだと考えています。そのため、自分自身をきちんと分析できているかどうかについては、かなり比重を置いて選考にあたりました。「あなたの弱点は?」という問いに対して「特にありません」という方もおりましたが。。。

これらの点を0から3点で評価し、総合点を算出して選考いたしました。選考結果は金曜日に発表されることになっています。

なお、今回の募集で20名の方を合格としたため、2次、3次募集は行いません。



2009年10月18日日曜日

ゼミについて(2)

ゼミの具体的な内容について、学生さんから質問をちょくちょくいただきますので、
10月20日(火)D310教室にて昼休みにゼミの説明と質問を受け付ける時間を設けました。
掲示板にて既に告知済みですが、出席する方は「ゼミナール紹介」の冊子を持ってくるようにしてください。

英語学特論

どんなに台風が来ていても、その時に嫌なことがあったとしても、英語ではその日の朝の挨拶は
Good morning.と言いますね。
どこがgoodなの?という気持ちを持っていたとしても、決してBad morning.とは言いませんね。
そもそも、I wish you a good morning.という表現に由来しているこのことばがどのようなプロセスで挨拶の表現へと推移していったのかは想像に難くないかもしれません。
I wishという相手への祈願を表す形式になっていることから、何かを陳述したり描写をするだけに使われていたのではなく、相手への思いを伝える表現であることがわかります。
しかし、私たちはこのようなことばの成り立ちを考えずに、何気なく"good morning!"と発します。それは非常に重要なコミュニケーションの手段であると、マリノフスキーのPhaticという概念を導入して授業では説明をしました。
また、D.ハイムズのコミュニケーション能力という観点からも説明しましたので、この2つの学説はしっかり押さえて、「あいさつ」を言語学的に考えてみましょう。

2009年10月5日月曜日

広告の表現効果について

テキスト言語学3回目

日英語の談話比較を広告というジャンルにしぼって検討しました。先週は「する」と「なる」という言語的な特徴を中心に表現を分析しました。
先週の学習内容を踏まえて、表現の相違について考えてみました。
『もののけ姫』の「生きろ!」という表現からは物語内容についてはピンとこないけれども、「なんとなく、インパクトのあるキャッチコピーだ」という印象が皆さんにはあったみたいですね。一方、英語の"The Fate of the World..."には「インパクトがあるというよりもむしろ、内容を端的に伝えているようなイメージがある」という議論になりました。
そこから、理性と知性というところにまで話を進めていきましたが、理解できたでしょうか?

日本人はどうしても「イメージで捉える」ということをしている感じがしますよね。
例えば、「タウリン2000mg」は「タウリン2g」よりもなんか健康になれそうな感じがするし、「レモン300個分のビタミンC」と言われると、とてつもなくビタミンが取れそうな気もします。
そんな「・・・な気がする」なんていうイメージで数字を捉えていて、そこには決して、数学的な数字の捉え方をしていないということが言えるはずです。
こうした、ものごとの捉え方というものと、表現の仕方は密接に結びついているからこそ、広告のキャッチコピーが「インパクトのある」ものになっていくのでしょうね。

そして、今日の授業のまとめとしてサールという人が考えた「発話行為理論」について説明をしました。広告は特に「発語媒介行為」と関係していましたね。また、広告はAttention, Interest, Knowledgeのどれかに重点が置かれてコピーが作られていて、Attentionに重点を置く日本的なコピーとKnowledge型の英語のコピーがそれぞれの言語のプロトタイプ的なものとして考えることができました。また、その中間的な存在のものというように、いくつかの形式に分けて考えることができるはずです。

来週の授業は休講です。1月25日(月)に補講を行います。

2009年10月2日金曜日

実用英語演習

2回目の授業からやってくるというのは学生さんたちにとっては当たり前のことなのでしょうかねぇ。
大学の授業の1回目がガイダンス的なものだと思っているからなのでしょうね。必修の授業は最初から授業をするのに・・・。

さて、先週行った100問の単語テスト。しっかり学習してきた人とそうでない人の差が歴然としていました。あまり良くできなかった人はこれから挽回しないと大変なことになりますよ。

授業でも言いましたが、毎回40問の単語テストを実施し、半分以下の正解率はその日は欠席とします。全授業の3分の1以上の欠席はE判定になるので充分注意しておくこと。

来週はe-Learningとテキストを併用しながら、TOEICのリーディングセクションの点数アップを目指します。頑張っていきましょう!

2009年9月28日月曜日

ゼミについて

来年度からのゼミについて、多くの学生さんから問い合わせがありました。
質問が多いことを全く想定しておりませんでした。。。

質問が多かったものをここにFAQ形式で記しておきます。

Q.ゼミの説明会はありますか?
A.ありません。具体的には、ゼミ案内に書かれていることを参考にしてください。

Q.オープンゼミはありますか?
A.ありません。来年度開講のゼミですので、現在のゼミ風景を見ていただく機会はありません。

Q.説明会やオープンゼミがないのでどうしたらよいですか?
A.直接、研究室まで質問に来てください。メールでゼミの内容についてお伝えすると、とっても長い文章になってしまいます。それよりも、直接研究室に来ていただければ使用するテキストや授業の内容についてお話いたします。
火曜日であれば、授業がありませんのでたいていは研究室にいます。
5階の部屋まで上がってきて、不在だったら、また階段を下りなければという嫌な気分になると思いますので、必ず1階の内線電話で在室を確認してください。
もちろん、メールでアポを取っていただければ確実ですが。

Q. ゼミ案内にある、日本企業のサクセスストリーの勉強と英語力の向上について教えてください。
A.日本企業のサクセスストーリーを描いたテキストを使って「正確に英語を読む」ということを行います。その後、海外にある同じ業種の企業をリサーチし、それらを比較したプレゼンテーションを行ってもらいます。そうすることで、大量の英語の文章を読み解くことになります。この訓練を繰り返し行うことで英語力が徐々に向上していくはずです。

Q.ディズニーのサービスマニュアルを読むとありましたが・・・
A.もちろん英語力向上のためですが、日英の文化比較を「ディズニーランド」に焦点を当てて考えていきます。授業で読んだマニュアルを確かめに、浦安あたりにあるテーマパークで確認してきてもらいます。

Q. TOEICのサブゼミは必修ですか?また、何曜日の何限に行われますか?
A.いいえ、必修ではありません。実施する曜日については具体的には決めておりませんが、時間割が確定してから考えていきましょう。

Q.面接の時はスーツですか?
A.普段の私の姿を。。。普段通りの格好でいいですよ。

Q.面接で決まりますか?
A.これは、何とも言えませんが基本的には面接です。ただし、志願書の書き方や、所作などもみさせていただきます。

多くの方からご質問があり、それらの多くが重複する内容でしたのでこちらにまとめておきました。また、ここに記載されていること以外の質問がありましたら、いつでもお問い合わせください。
ともかく疑問点があれば、メールよりも研究室に来ていただく方がよいと思います。
月・土曜日以外は必ず大学におります。





広告を比較すると

桜美林大学 テキスト言語学2回目
「英語らしさ」について「他動性」という概念から考えていきました。
具体的には、日本語と英語の広告を例に取りながら、それぞれの表現的な特徴を探るためにディスカッションをしていただきました。
皆さんは、英語の表現は「単純」で、日本語の表現は「インパクトがある」という見方をしていました。そこで、授業ではどうして「単純」な表現といえるのかということに焦点を当てて考えました。そこから導き出されたものは、日本語の表現と比較して、英語のキャッチコピーの多くは「他動詞を用いた構文」であるということでした。
そうすると、英語らしく響く表現は「他動性」の高いものであり、日本語的な表現と全く異なっているということがわかりましたね。

これを「する」型言語と「なる」型言語の2つに区別して考えることを提示しました。もちろん、HAVE型言語とBE型言語という区分でも構いません。
授業では、概観する程度にとどめておきましたが、興味のある方は以下の参考文献に目を通しておくと、レポートを書く際には役に立つはずです。

池上嘉彦 『<英文法>を考える』ちくま学術文庫 と 同著者による『英語の感覚・日本語の感覚』NHK出版

全てのページを読む必要はありませんが、目次をみながら該当すると思われる箇所を自分なりにピックアップして読むようにしましょう。




2009年9月25日金曜日

実用英語演習1回目

教室をE202へ変更しました。今学期はCALL教室を利用して授業を行っていきます。
今日は春学期末に予告した通り、TOEIC単語テストを行いました。かなり忘れてしまっている人がいますので、今学期こそは単語を完璧にしておきましょう。

授業は、毎回単語テスト40問(4日分を1回のテストで実施し、以前のように前の回の範囲は含みません)を行い、アルクのe-Learningでリスニング鍛える訓練を行った後に、Readingセクションの演習を行います。


2009年9月21日月曜日

テキスト言語学1回目

「テキスト言語学」1回目は授業の概要と、「テクスト」という概念についてお話ししました。

レポートの書き方について簡単に説明しました。また、2回目のレポートで利用する、村上春樹の小説(日本語・英語)を配布しました。

授業の大きな枠組みとして、社会的な「コンテクスト」と文字情報としての「テキスト・テクスト」をどのように捉えていくかが一つのテーマとして設定しました。

次に、この授業を進めていく上で大切な考え方は<比較する>というものだということをお話ししました。例えば、ある人間の集団を、男と女に分ける、小学生、中学生、高校生、大学生に分けると言った場合、そのときには必ず分類するための基準があります。例えば、小学生と中学生を分ける上では「数学」という授業が登場するかどうかということで分類できますが、中学生と高校生では「数学」は比較対照にはならない。
そうしたときに、どのような基準を定めればこれらを、分類・比較できるかということを考えてみましょう。

こうして、私たちは意識はしていなくても、常に、何かと何かを<比較して>生活をしているのです。安売りのお店を探すには、いくつかのお店を比較したりして買い物をしているでしょ。

ということで、<ことば>も<比較>、<分類>していくことで、いままで何気なく捉えていたものも、明確に理解することができるようになるはずです。ですから、授業では、常に<比較する>という視点に立脚し、日本語と英語の間にある違いは一体何か?ということに焦点を当てながら、いろいろと考えてもらいます。

来週の授業までに、本日配布した英語の広告についてそれぞれ翻訳をしておいてください。
何か質問があれば、このコメント欄を使ってもかまいません。



2009年8月21日金曜日

論文

大学教員としての仕事は、誰が言ったか知らないが研究、教育、学務の3つと言われている。最近は学務、教育、研究という優先順位で仕事をしているような気もします。
とりあえず、自分が研究者だということを忘れないためにもこの夏休みの期間は論文を書くことに集中したいと思いながらも8月もあと少しとなってしまった。
そんな中、昨年末に書き上げた論文が今回出版された論集の中に掲載され手許に届いた。今更読み返すのも恥ずかしいものなので、ぱらぱらとめくりながらも、研究への意欲がちょっとだけわいてきた。なので、いつまで続くかわからないこのやる気を継続させ、研究モードに突入。
ただ、雑念はなかなか振り払えない。。。

2009年7月29日水曜日

実用英語演習

「実用英語演習」の試験は30日(木)2限に実施されます。
授業でお話ししたとおり、テキストの文法項目すべてと単語Day11〜20までが試験範囲になっています。形式は中間試験と同じですので、きちんと復習をしていれば完璧ですので頑張って下さい。
なお、秋学期の授業開始時に単語Day1〜20より100問の試験を行いますので、夏期休暇中もしっかりとボキャビルに励むようにしてください。

2009年7月27日月曜日

授業終了

「20世紀アメリカ文学」の授業が今日で終わりました。
最後の授業はアメリカ文学ではなく、イギリス文学で取り上げられるT.S. Eliotの作品を扱いました。今まで散文を読んでいたので、今日は詩について頭韻、脚韻、視覚韻などを具体的に作品を読みながら確認をしました。
詩にはリズムがあり、読み手が自分の中でリズムを感じながら読むことで作品を味わうということを提示した後で、詩の音楽性について考えてみました。
具体的にはEliotの詩に音楽をつけてミュージカルにした"Cats"を取り上げました。
自分で音読するよりも、詩の世界が広がったのではないでしょうか。
文学作品にはそれだけの奥行きがあり、広がりは無限であるということが実感できれば今日の授業の目的は達成されたと思います。

半期2時間連続の授業で大変だったでしょうし、今日の授業のコメントカードにも朝1限から頭をフル回転させて文学作品を読むのが大変だった。などとありましたが、それでもほとんどの皆さんが英語で文学作品を読み解くことの楽しさがわかり、言語学やヘミングウェイに興味を持ったということをおっしゃっていたので、授業をする側としてはよかったと思っています。

ただ、一つ残念なことはレポートをインターネットからのコピー&ペーストをして作成していた学生さんがいました。一番最初の授業時に説明したとおり当該科目を不合格といたします。

それでは、皆さんよい夏休みを。


2009年7月20日月曜日

殺意はあったのか?

「20世紀のアメリカ文学」
"The Short Happy Life of Francis Macomber"を読みました。1限と2限にそれぞれグループディスカッションを行いました。非常に有意義な回答がそれぞれのグループから出てきましたね。根拠を挙げながら説明をしていくことができるようになってきたので、これからの授業が楽しみと思いきや、来週で終わってしまいます。
今回の授業の山場はなんと言っても最後のFrancisの死についてのそれぞれグループの見解が見事に別れていろいろとディスカッションをすることができました。故意なのかそれとも偶然なのか?

批評家の間でもこの結末部分については一致した見解が提示されておらず、常に議論の対象でした。授業後のリアクションペーパーでも皆さんが一生懸命導き出した答えが記されていました。
来週は今日提出された3回目のレポートの返却と、「詩」と「音楽性」という観点からT.S. Eliotの作品を見ていきます。

2009年7月13日月曜日

徐々に終盤を迎えつつ

今学期もそろそろ授業が終わりに近付いています。
「英語学特論」
今学期は意味論を中心に文法現象を考察してきました。冠詞、名詞、動詞の時制が主な分析対象でしたね。また、語用論の古典でもあるグライスの理論やゴフマン、ブラウン&レビンソンのポライトネス理論についても様々な例を通して理解を深めました。
最後の授業では、研究の姿勢として守・破・離という考え方を説明しました。まずは、その理論に従ってみる。そして反例を見つけて破ってみる。そこから自分の理論を導くために離れてみるということです。独りよがりの研究になってはいけないという自戒の念を込めて皆さんに説明をしたところです。卒業論文を書くときにはこれらを心がけて書くようにしてみましょう。
来学期は語用論を中心に日英語比較を行う予定です。

「20世紀のアメリカ文学(英語圏社会と文学)」
桜美林は27日まで授業がありますね。
これまで様々な観点からHemingwayの短編小説を論じてきました。今日と来週の授業は"The Short Happy Life of Francis Macomber"というやや長めの短編を読みます。1限目のリアクションペーパーで皆さんの正直な声が聞こえてきました。途中までしか読めませんでした・・・。という方が予想以上に多かったため、今日の授業は物語の前半に絞って読み解きました。
会話から3人の関係や視線の描写から理解できることがこんなにもたくさんあるということに気がついたと思います。
来週はこの作品のクライマックスの部分に突入していきます。最後のFrancisの死は一体。皆さん一人一人が刑事になったつもりでこの事件を解決してみましょう。
ちなみに20日は3回目のレポートの提出日です。今まで返却したレポートにそれぞれの注意点を書いておきましたので、それらを参考に論を構築してみましょう。

2009年7月9日木曜日

学期末

あっという間に春学期が終わろうとしています。気がついたら夏休みも終わって、秋学期が始まってしまう感じです。
この前も、指折り夏休みまでの日を数えていたら、いろいろな仕事を思い出して指を戻してしまいました。もしかしたら夏休みにならない方が仕事が少ないのでは?なんて考えたりもしています。

さて、今日は「実用英語演習」の前期授業が終了しました。
この学期間に相当量の単語を覚えてもらいました。かなり強制的な試験をしていましたが「語彙力」はある程度必要だということがわかったかと思います。従って、夏休み中も語彙増強をしていただきたいので、今学期使用した単語テキストの試験を休暇明けに行います。約900語ありますが、その中から100語の試験をしますので、夏休み中も頑張って学習を続けて下さい。
また、試験が30日にありますが、試験範囲は授業でも説明したとおり、全ての文法項目から50問と単語テキストの後半から50問を出題します。中間テストが残念な結果に終わった人はここで一気に挽回しましょう。

「英語科教育法」
フォニックスルールの学習法と指導法について、チャンツを利用した方法を紹介しました。綴り字と発音の関係は少なからず有効な教育手段でもありますので、特に入門期の指導について考えるときには理解を深めておく必要があります。
また、後半は「単語を書いておぼえる」ことと「書かないで覚える」ということをドイツ語の単語を使って皆さんに実証していただきました。人間の記憶MOP/Short Term/ Long Termという3つの段階の仮説を通してみたところ、どちらにも大差がないということがわかりましたね。それは、まだ記憶として定着していない状態で「覚えたてほかほか」ですので、容易に回答することができました。しかし、ちょっと時間が経つと記憶として定着していないということもわかったと思います。ということは、どのように「定着」させるかを考えなければなりません。ということで、今回の授業で出した結論は、語彙指導は「定着」させることを念頭に指導計画を立てる必要があるということでした。


2009年7月7日火曜日

複雑な人間関係

「20世紀のアメリカ文学」
今回の授業では"Mr. and Mrs. Elliot"を読みました。詩人の夫と彼の原稿を一生懸命タイプする妻。年の差は15歳。この構図はPoeの"The Oval Portrait"、Hawthornの"The Birth-Mark"に登場する、画家とその妻、科学者とその妻という19世紀後半のゴシック・ロマンス的な作品とどことなく似ている。それはElliot聞くとT. S. Eliotが想起されることにもあるかもしれませんね。
舞台となるフランスのシャトーという場面設定からも考えられるということを授業の前半で説明をしました。
具体的な作品の読み解きとしては、コーネリアの2度の涙、みんなが幸せに暮らしていたという結末の描写の意味についてグループごとにディスカッションをしましたが時間切れとなり、次回の授業に持ち越しとなりました。
来週の授業の前半部分で今日の確認をしていきます。じっくり作品を読み直してみましょう。
それから、レポートの提出日を1週間延期しました。来週ではなく、20日になっていますので、時間をかけて完成させてください。

2009年7月5日日曜日

八王子の休日






日曜日ですが、片付けなければならない仕事があって大学へ出勤です。誰もいない校舎は落ち着きます。
大学院生の頃のアルバイトで小学校と中学校の守衛をやっていたことがあるのですが、夏休み朝8時から翌朝8時までというシフトがあり、誰もいない学校の中で一日中本や論文を読んだりという非常に充実した日々を送っていました。深夜の学校の見回りも、お化け屋敷みたいな雰囲気を醸し出していましたが、誰も聞いていないと思い、大声で歌ったりとストレスを発散したりしていました。

研究室の書棚もだんだんとぐちゃぐちゃになってきていて整理をしなければならないのですが、なかなかそこまで手が回りません。

『英語科教育法』
これまで、授業の進め方について様々な実例を通して考えてきました。残りの授業は前期の総まとめとしてTeaching Planの作成について説明をしました。来学期は皆さんが実際に教壇に立ち作成したTeaching Planに基づき模擬授業をしていただきます。そのためにも今回の授業はとても大切なものでした。そして、今回の授業で教案がいわゆる授業の「台本」であり、「ネタ帳」であるということが分かったかと思います。私が以前中学に勤めていたときに作っていたTeaching Planも配布しましたので参考にしながら、各自レポートとあわせてTeaching Planを作成してください。

『英語学特論』
テンスとアスペクトについて意味論的なアプローチの総まとめとして、皆さんに研究発表をしていただきました。様々な文献を調べて自分なりにまとめられていたのは感心しましたが、もう少し広い視野で考える必要がありましたね。課題の現在完了と現在完了進行形の区別はきちんと出来ていましたが、現在完了進行形の意味論的な説明がそのまま現在進行形に当てはまってしまうものがいくつかありました。
来週の授業は語用論の談話分析を行います。

2009年6月30日火曜日

友情

研究室に外線電話。交換を通しての電話だったので何気なく出てみたら不動産やらリゾート会員権の「おいしい」話でした。とってもうっとうしいので、電話をがちゃり。大学の教員の給料なんてたいしたものではないのに。。。

『20世紀のアメリカ文学』
Hemingwayの"Cross Country Snow"を授業で取り上げました。男同士の友情がアメリカ文学にしばしば見られるテーマであるということを説明した後、NickとGeorgeの会話分析を行いました。
また、「雪」の描写、「色」の描写について意味論的な枠組みを提示して作品の解釈をしていきました。
最近では授業内でグループディスカッションが非常に活発になり、それぞれのグループでの解釈を聞くのがとても楽しみになっています。授業も残すところ3回です。「文学」と「言語学」の接点を見いだせるようになっていければと思いながら授業を進めていきます。

『英語学特論』
そろそろ<テンス>と<アスペクト>の意味論的分析も佳境に入ってきました。普段何気なく使っていた英語について新たな見方があるということがわかってきたのかと思います。来週の授業では、皆さんがそれぞれ調べてきた「現在完了進行形」と「現在完了形」、「現在進行形」の意味論的分析結果の発表をしてもらいます。とても楽しみにしています。

2009年6月28日日曜日

年を重ねつつ


久しぶりののんびりできる週末です。

先週は学生さん達から誕生日プレゼントとして「焼酎サーバー」なるものをもらった。普段の授業でもお酒の話などをしているからかな?
別に、来週が誕生日などと授業で宣伝していたわけでもなく、かなり前にどこかの授業の雑談か何かで聞いて覚えていたらしい。そういうのってちょっとうれしいですね。

ちなみに焼酎サーバーの後ろにあるガラスの瓶たちは奥さんが集めているマリアージュフレールのフレンチサマーティー。




2009年6月25日木曜日

高校訪問週間

勝手に自分で名前を付けた仕事です。
今年は入試・広報委員として大学の広報活動の手伝いもしております。その活動の一環として大学の様々な取り組みや学部の紹介を高等学校を個別に訪問して周知徹底するというものがあり、先週から今週にかけて授業の合間をぬって長野、静岡、東京の高校を訪問させていただきました。高速道路のインターでご当地グルメを食べるのが楽しみになり、静岡の「富士宮やきそば」や長野で「おやき」などを食べ、ちょっとだけ幸せな気分に(笑)

さて、授業ですが
桜美林「20世紀アメリカ文学」
2回目のレポートの提出をしてもらいました。書式や引用の仕方について厳しく説明をしましたので、ほとんどの方はルールを守ってレポートを作成していました。ただ、内容がどうしても「感想」になってしまう人もいたので、「分析、批評」との違いについて再度授業で説明をします。

杏林「英語学特論」
時制について考えています。He is resembling his mother day by day. という英文が受け入れられるのは、例えば赤ちゃんがすくすく育って行くうちにだんだんとお母さんに似てきているなんていうシチュエーションが考えられますね。
また、The bus is stopping.とThe bus stops.それからThe bus stopped.の違いについてはどのように意味論的な見地から説明することができるかについて皆さんとディスカッションしながら何となく答えが見えてきましたね。次回はこの続きから話を始めたいと思います。

「英語科教育法」
授業展開についてある程度の流れが理解できたと思います。授業では授業計画として小学校の5時間分の授業の流れについて皆さんと考えながら話を進めていきました。
単語の提示の仕方も、単なる提示に終わらずにリズムチャンツや体を使いながら覚えるという方法を一緒に皆さんと行いました。恥ずかしがっている人もいましたが、慣れればすんなりとリズムチャンツを歌ったり踊ったりできますよ。

2009年6月15日月曜日

梅雨

朝から雨が降り出しそうな天気で、こんな日は何か空気の匂いがちょっと違いますよね。
「20世紀のアメリカ文学」ではレポートの提出をしてもらいました。ネット上もしくは手渡しで時間内に提出されたレポートのみ受付ました。最初のシラバスを配布した段階で年間スケジュールは記載済みですし、3回提出するレポートについても別項目を立ててシラバスに書いてあるので「忘れていました」と言われても、「じゃあ、来週ね」とは言えない。遅れて提出されたものについては一切の評価をいたしません。

さて、授業では"Up in Michigan"を読みました。スタインが「壁に掛けられない」と酷評した作品でもありますが、今日のグループディスカッションでは作品の中心に皆さんが踏み込めていたのではないでしょうか?恋愛が関係してくる物語になると、どうしてもテクストを離れてしまい、「妄想」が暴走してしまう傾向がありましたが、今日は根拠をテクスト、文体に求めながらの討論ができました。その中にも秀逸な議論もありましたね。鹿の脚、Lizの脚そしてこわばった身体、Jimの大きな手、大きな"it"などがきちんとまとめられていました。
彼女が失った"everything"は一体いかなるものだったのでしょうか?また涙しながらもJimに自分の着ていたコートをはだけないようにかけてあげたときの彼女の気持ちはどのような気持ちだったのでしょうか?

2009年6月14日日曜日

1Q84

村上春樹の『1Q84』を先週から読み始めた。さすが村上ワールドという感じで、作品の世界に引き込まれていく。『海辺のカフカ』のような「交差する世界」をどこに見いだせるかを探りながら、そして「その期待」は必ず裏切られるんだろうという別の期待。

さて、「英語学特論」では機能主義的な立場から文の意味について学んでいます。3週間かけて行ってきた「受身文」の意味は理解できたかと思います。
This bridge was crossed by John.はちょっとおかしくて、This bridge was crossed by hundreds of lovers.は容認可能であったのは、主語の意味づけ機能が作用することで考えられましたね。
前回の授業では、「時制」について考え始めました。「テンス」と「アスペクト」の概念についてはまだ詳しくは学習していませんが、いわゆるbe+ ingで表される「進行形」がとても面白い文法現象であるということを理解したでしょう。前回の授業はイントロ編でしたので、来週からはもっと「意味」の「深み」にはまって行きましょう。
She has studied English.とShe has been studying English.の違いについて自ら様々な例文を調べ尽くすというのがこれからの課題になってきます。
ちなみに、7月3日に提出するレポートの課題を提示しました。また、参考になる図書類も授業中に説明をしましたので、聞きそびれてしまった人は友人に確認しておきましょう。

2009年6月11日木曜日

中間試験の返却

先週実施した実用英語演習IIIの中間試験を返却しました。
TOEIC頻出文法問題50問とリスニング重要単語50問の試験でしたが、平均して70点ぐらいでしたので、みなさんよく学習していると思います。ただし、半分に満たなかった方もいましたので、試験返却時にも言いましたが、「とにかく問題形式に慣れるまで練習する」ように心がけて下さい。
単語が25点未満だった方は25日の昼休み(授業終了後)に再テストを実施し45問以上正解を合格点とします。30点台だった人も安心せずに、必ず復習するようにしてください。
ある一定のレベルに到達するまでは「暗記」が非常に重要になってきます。

2009年6月10日水曜日

魔の水曜日


水曜日は授業の合間に打ち合わせが入ることが多い日です。
1限 英語科教育法
2限 英語I
昼休み 会議
3限 基礎演習
そして、今日は3限終了後に都内の日本語学校にインターンシップのお願いに出張。日本語教育の最先端の話を伺い、日本の英語教育がいくつかの面において遅れていると感じた。

<英語科教育法>
先週から指導案の書くということをテーマに、授業設計を考えています。今日は2人に模擬授業をしていただきました。初めて教壇に立ち全て英語で授業をしなければならないということで「超」緊張していたみたいですが、初めてにしてはよくできていました。

授業でも言いましたが生徒と教師が「一体感」を持つ授業が出来るように心がけましょう。単に、How are you? Fine thank you, and you? I'm fine, too. Thank you.という定型表現の挨拶だけでは終わらせないようにしましょう。全体への問いかけなのか、個人への問いかけなのかは、gestureや呼びかけを積極的に取り入れて行うようにしていくことで「グダグダ感」は払拭できるはずです。
また、Picture cardsを利用したOral Introduction からStory Re-tellingへ展開する方法も見ていきました。

来週はペアワークなど授業の展開部分について具体的に考えていきます。指導案のテンプレートはUniversal Passport上にアップしてありますので、各自ダウンロードして利用して下さい。

2009年6月8日月曜日

カフェ物語


今日の「20世紀アメリカ文学」はHemingwayの"A Clean Well-Lighted Place"を読みました。
会話描写でいわゆるhe saidなどの伝達節がほとんど記されていないので、2人のウェイターのうちどちらが話をしているのかについては注意深く読む必要がありました。グループごとにディスカッションをしながら「誰が話しているのか」についてそれぞれまとめてもらいました。今回のディスカッションが有意義であったことがみなさんの授業後のリアクションペーパーに記されていましたので、今後もディスカッションの回数を増やして授業を進行していきます。

さて、この話の冒頭部分に次のような描写がありました。

In the day time the street was dusty, but at night the dew settled the dust and the old man liked to sit late…

 そして、The Sun Also Risesに見られる次の描写と比較するところから議論をはじめていきました。

It is awfully easy to be hardboiled about everything in the day time, but at night it is another thing.

昼間はハードボイルドでいるのは簡単なことだけど、夜になるとそうはいかないんだ。ということですが、"A Clean Well-Lighted Place"のカフェも「夜」には特別な意味がありそうですね。昼間のホコリっぽい乾いた場面から、湿気が出てくる夜ともなると、そのときの気分はどうなっていくのでしょうか?きっとそういう夜になると心に傷を持った人たちがカフェの明かりに吸い込まれるように集まり、誰かとコミュニケーションをするわけでもなく自分の心の傷がいやされるまで滞在する。そこには現実的な時間をも超越した独特の時間が流れていることでしょう。

カフェに目を転じると、若いウェイターは時間ばかり気にして早く帰りたくて仕方がない。一方で年長者のウェイターは不眠症ということもあり、時間という枠組みから逸脱している。精神世界の中の"nada"を追い求めながらカフェを開き続ける。そこは清潔で明るく落ち着く場所でなければならない。

少しニュアンスが異なりますが、"A Clean Well-Lighted Place"とCarson McCullersの"A Tree, a Rock, a Cloud"( The Ballad of the Sad Cafeに所収)を読んでみるとおもしろいと思います。どちらもカフェを舞台にしながらも、そこに流れている空気、雰囲気はどことなく感傷的であるといえるでしょう。

来週は2回目のレポート提出になります。皆さんのレポートを読むのを楽しみにしています。


2009年6月7日日曜日

天気のいい日には


ここ数日の雨模様から一転して今日は快晴。朝から気合いを入れてたまっていた洗濯をすることに。結局3回も洗濯機を回すだけの量がたまっていた。そして、洗濯物をベランダに干しながらの景色がきれいだったのでパチリ。都心では味わうことのできない自然の中に暮らしております。

さて、今週で大学の授業も夏休みに向けて後半戦に突入し、春学期もあと半分というところまでやってきましたね。とりあえず、このブログでは授業のことをメインに書いていきます。

ということで授業のこと
<英語学特論>K大学
今週までの復習
受身文を意味論的な立場から考察していました。機能主義的な考え方をすることで、生成文法との違いが理解できたかと思います。次回の授業では受身文のまとめをした後に、「テンス・アスペクト」という観点を意味論的に考察をしていきます。
まずは皆さんの知っている現在完了について、I have studied English.とI have been studying English.の違いから考えていきましょう。

<20世紀のアメリカ文学(英語圏社会と文学)>O大学
今週までの復習
先週はHemingwayの"Solder's Home"を読みました。発表もよくできていました。クレブスの変化を象徴的に表している冒頭の2枚の写真の描写だけが、地の文にもかかわらず「現在形」で語られていましたね。このときの語り手が誰で、視点がどこにあったのかということをじっくり考えて読み解きました。決して翻訳を読んだだけではこの違いに気がつかない。英語の文章を読む楽しさというのがこういった小さな所にも隠されていますね。
15日には2回目のレポート提出です。1回目のレポート返却時に各自にコメントを書いたことや、授業内で説明したことをしっかり守って作成してください。