ふと、ニュースを見ていて気がついたので。
別に選挙などに加担するとかそういう訳ではなく、言語学的にメモをしてみようと思う。
ただし、難しい用語は出すのをやめておく。なので、ここに書かれていることは、非常に「ざっくり」とした理論に基づいていると思ってください。
首相がテレビ番組で「逆に、谷垣総裁にお聞きしたい。10年間の自公政権だけでも相当無駄が入っていると思うが、その認識をお持ちか」
と、消費税率をあげることにたいして、質問をされた際の返答である。
これは
A:ここら辺でおいしいラーメン屋さんはありますか?
B:逆に聞きますが、どうして坂本龍馬は人気があるのでしょうね?
という噛み合ない質問に等しい。
まぁ、この場合はBがとんちんかんな答えをした奴だと感じるかもしれないけれど、そこには、Bなりの発話の意図があると考えてもいいかもしれない。
それを考えるには、グライスという哲学者が、カントという哲学者に倣って「会話には一定のルールがあって、そのルールを破ると(意図的もしくは意図せず)、そこには含意が生じる」と考えた。そのルールは4つあって、
1 嘘はつくな
(ルールを破って嘘をつく→嘘をつくにはそれなりの意図がある、というのが含意)
2 適切な分量で話すこと
3 関係のある話をしろ
4 曖昧なことはさけろ
で、話を戻すと、Bは全く関係のない発話をしたのではなく、例えばこの質問が行われている場所が、讃岐うどんが有名な地域だったりすると、わざわざ四国まで来てラーメンなんて食っているんじゃない!うどんを食って行け!
なんていう意図が読み取れるかもしれません。
ということは、首相の発話に戻って考えてみると、「3 関係のある話をしろ」というルールを明らかに破っていることがわかります。
そうすることにより、首相の発話の意図が読み取れます。答える自信がないときに、逆質問をするということが含意されているといえます。だから、ニュースを読むと
何度も司会の進行を遮って逆質問を挑む首相に、野党党首の一人は「あれじゃあ、野党の党首だ」とあきれ顔だった。
常に、会話の流れを断ち切って(すなわち、前後関係を壊して)、質問をし続けるということですから、「質問をすれば、自分が答えなくて済む」という流れを作りたかったのでしょうね。
また、会話の中では、質問をすることができる立場というものもあります。質問をして、新たなトピックを提示できる人は、その会話に置いて主導権を取れるという考えです。首相はどうしてもトピックを自分でコントロールしたかったのでしょうね。それがきちんとできれば、主導権を握れるのですが、どうやらうまくいかなかったようですね。そうすると、政局での主導権は今後どうなることでしょう?
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