2012年1月22日日曜日

オアシスのWhateverを解釈してみる

ふと休日にOasisのWhateverを何気なく聞いていたら、その歌詞の世界に引き込まれてしまった。今まで何度も聞いていた曲なのだが、その歌詞の意味をじっくりと考えてこなかったので、これからその歌詞と向かい合ってみることにする。


最初のスタンザからいってみよう。

I'm free to be whatever I
Whatever I choose
And I'll sing the blues if I want

まずは直訳調で、

僕は自由さ。何にだってなれる。
そう、僕が選ぶものならなんでも。
歌いたければブルースだって歌うさ。

もう少し英語の持つ意味をふまえながら考えてみることにする。
freeという語から読み解いてみよう。この語は誰もがわかるように、辞書的な意味は「自由」である。しかし、もう少しその語の意味を見ていくと、「誰からもコントロールされたり邪魔されたりすることなく、やろうと思ったことができる、言える」さらに転じて「型や因習にとらわれることがない」という意味を持っていることがわかる。

ちなみにwhateverは複合関係詞で、anything thatの意味を持っている。つまり、「どれでも」という意味ではあるが、「この中からどれでも好きなものを持っていっていいよ」ではなく(この場合はwhichever)、選択肢が与えられていない状態で「どれでも」という意味である。したがって、freeの「型や因習に縛られない」と強烈に共鳴している語なのである。

さらに、作詞をしたノエルのちょっぴりやんちゃな面を考えると、単に「自由だぁ〜!」と叫んでいる様子は想像できない。そうすると、「しがらみや因習、さらには商売上の規制などといったものが存在する大人の世界」が前提となっていると考えられる。
だから、単純に「自分は何にでもなれる」というのではなく、「こんなしがらみだらけの世界にいるよりも、自分のやりたいことがあるんだから、いつでもこの世界を飛び出してやるぜ!」というような感じを伝えているのだろう。

ここで、オアシスの簡単な歴史を見ていこう。

1991年に結成したオアシスは、2009年の解散に至るまでメンバーの入れ替わりがたびたびあったが、基本的にはギャラガー兄弟が中心であったことは周知の事実であろう。結成当時、弟のリアムが兄のノエルをバンドに加えたが、ノエルはバンドの主導権をすべて自分に与えるよう提示したのである。94年の9月にファーストアルバムOasisをリリースし、英国でのチャート10位にランクインし、一躍脚光を浴びることになる。しかし、ギャラガー兄弟の間では幾度もの衝突が起こり、アメリカツアー中にノエルが脱退するという一幕もあったが、すぐにノエルはツアーに再度参加することになる。そうしたなか、同年のクリスマスにこのWhateverをリリースし英国のチャートに3位にランクインする。以後オアシスは不動の地位を築くことになったが、2009年にはノエルが脱退を表明したことでオアシスは事実上解散となった。この間、ノエルは何度となくバンドを離脱したり、騒動を起こしたり(これは弟のリアムも同じだが)世間をにぎわせてきた。

ものすごくざっくりとしたオアシスの歴史をみても、この最初のスタンザは彼の個性が強く表されたものだといえるのではないか。

ブリティシュロックを歌い続けている彼らが、「もし僕が歌いたいなら、ブルースを歌うだろう」というのは、一体どのような意味があるのだろうか?
これは、彼らなりの反抗で、「お前らの好き勝手にさせない。オアシスがブルースを歌ったりすればどうなるかわかるだろ?」という挑戦状みたいなものになっているのではないのだろうか?

そして、そのまま次のスタンザにこの気持ちが引き継がれていく。
I'm free to say whatever I
Whatever I like
If it's wrong or right it's alright

直訳では
僕は自由だ。言いたいことが言える。
何だって言えるのさ。
もしそれが間違っていたとしても正しかったとしても、関係ない。

となるだろう。
ここでもfreeが使われているが、最初のスタンザと同じ気持ちで使われていると解釈すべきだろう。従って、「俺の言っていることは、誰かに言わされているのではなく、自分が思っていることを口に出しているだけだ」という意味として捉えることができる。そして、最後に捨て台詞の如く、「そもそも、間違っているとか、正しいということは自分以外の誰かの判断だから、そういう他人の意見には一切耳を傾ける気はない」と言い放つのである。

つまり、「俺はやりたいようにするだけさ。邪魔なんてさせない」「邪魔してみろ、どうなるかわからないぞ」という強いメッセージが込められている。

ちょっと長くなったので、ブリッジの部分はまたの機会に。

1 件のコメント:

  1. 大好きな曲です。
    ぜひぜひ続きをお願いいたします、先生!
    (しばらくぶりに学生気分)

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